(本2) 一流はなぜ「シューズ」にこだわるのか
内容
箱根駅伝連覇の青山学院大学陸上部・原晋監督推薦!野口みずき、高橋尚子、有森裕子ら五輪メダリストをはじめ、青山学院大学駅伝チーム、イチロー、内川聖一、香川真司、長谷川穂積、高木虎之介ら、トップアスリートの特注シューズ・インソールを作り続けてきた「現代の名工」三村仁司。
そんな著者が、アスリートたちとの知られざるエピソードを交えながら、「あと1秒」「あと1ミリ」夢に近づくための、アスリートとシューズ職人、プロフェッショナルたちの見えない努力を語り下ろした一冊。
著者
1948年兵庫県生まれ。高校時代は長距離走選手としてインターハイ等で活躍。卒業後、オニツカ株式会社(現・株式会社アシックス)に入社。成型係、研究室等を経て、74年別注シューズの制作を開始。数々のメダリスト、アスリートにシューズを提供。2004年厚生労働省「現代の名工」表彰、06年黄綬褒章を受章。09年に定年退職し、シューズ工房「ミムラボ」を設立。現在は同社代表取締役兼アディダスジャパン専属アドバイザー。
これまでに瀬古利彦、森下広一、有森裕子、高橋尚子、野口みずき、イチロー、長谷川穂積、内川聖一、香川真司…らにシューズを提供。青山学院大学駅伝チームのシューズ製作も行い、15年16年の箱根駅伝連覇に貢献している。
感想
著者の三村さんは説明はいらないほど有名な方ですね。
君原健二さんのシューズから、現在も日本代表クラスの方々のシューズもほぼ全て手掛けるほどの方です。
この本の中には三村さんがこれまで作ってきた様々なシューズ、そして選手を、選手の足を直接見てきで感じた事が数多くのエピソードとともに書かれています。
「走った距離は裏切らない」
野口みずき選手の「走った距離は裏切らない」という発言には「ほかのどんな選手よりも練習したのだから負けない」という絶対的な自信があり、「走り込みが足りない状態では、自信を持つことができない」という繊細なメンタルの裏返しであった、といった内容がありました。
一流アスリートほど、やれることは全てやって、最終的には開き直りにも似た「自信」が必要だそうです。
確かに2016年の福岡国際マラソンでの川内選手は、怪我や前日の捻挫の影響を感じさせない走りでしたが、これも気持ちの開き直りがいい方向に働いた結果も大きかったと思います。
市民ランナーでもこの「自信」はいい結果を出すための大事な要因だと思います。
自信を持つためには、やはり練習の積み上げ、「やれるだけのことはやった」という実績が必要なのかもしれません。
「なぜ日本人選手は勝てなくなったのか」
日本のマラソンはなぜダメになったのかでも書きましたが、数々の日本を代表するマラソン選手と同じ意見を三村さんも書いていました。
「練習量が不足している」ということです。ただし、この一点のみが単純な理由ではないことも承知しているが、駅伝偏重の会社で20kmの、ハーフのための練習中心では、やはりマラソンは難しいとのことも書かれていました。
そしてそれだけの練習量をこなすには、「怪我や故障をしない」、「疲れをためない」事が重要だと。
そのために、個人の癖や筋力、バランス等を見極め、適切なシューズを作ることが三村さんのモットーだそうです。
「シューズが果たす役割」
シューズには「試合用」「練習用」、そして「矯正用」があり、この矯正用シューズがとても大事だと書かれています。
市販のシューズでもオーバープロネーション用や、インソール等で矯正できるような商品もあります。
市民ランナーは自分で自分の足や、着地、走りの癖を見極める必要があります。
単純に靴底が厚い、薄いのみではなく、今の自分に足りないもの、必要なものを少しでも補ってくれるシューズを意識してみるのもいいと思います。
私は偏平足で、オーバープロネーション気味ですので、ゲルカヤノや、オーバープロネーション対策用インソールを買って、試しています。
ほんの一部しか伝えられていませんが、マラソンをやっている方には興味深い内容だと思います。
Kindle版が少し安かったので、私はそちらを買いました。
興味あればぜひ読んでみて下さい。